8月30日の夜11時から、NHKの「ニッポン知らなかった選手権 実況中!」という番組が放送されましたが、見ましたか?
「第2回生字幕入力コンテスト」を取材したものがオンエアされていました。キーボード選手権ともいうもので、今年は7月3日に開催されました。
コンテストの主催は日本速記協会です。日本速記協会は1920年(大正9年)設立というので、そのころから速記の技術がどんどん進歩してきたんですね。
これわん、即「録画ボタン」を押しましたよ。実際のオンエアのときも、興奮しっぱなしでしたが、録画を見ても感心しきりです。
生字幕入力者(ステノキャプショナーともいう)は、もう職人の域ですね。
どうしたらあんなことできる?
って、思いました。
見逃した方は、NHKプラスで9月6日の11時28分まで見られるそうです。(要登録手続き)
仮登録の段階でも見ることは可能なので、ぜひご覧ください。
文字入力にかかわることは要約筆記に限らないし、同じようで似て非なりってこともよ~く分かりました。
要約筆記に携わっている人たち、関わろうと思う人たち、ゼッタイに見て~。
即時性
番組を見て思ったのは、字幕会社って意外と多いんだな、ということです。
いま、NHKでは7割の番組に字幕が付いているそうです。録画なら、字幕は後付けできますが、生放送は生入力。
AIでの文字変換もだいぶ前から開発されましたが、どうしても5%ほど誤変換があるそうで、それなら、入力が速い人の方が確実なんだって。
AIに負けられないっ
第2回なので、去年から始まったコンテストなのでしょうか。昨年優勝したチームも出場されていました。
解説をされていた字幕会社のレジェンド本間さん曰く、
「聴覚障害者はタイムラグが3秒以上だと遅いと感じる」という発言にはびっくり。
「3秒」ですよ。
そーなの?
要約筆記は、全然太刀打ちできない領域だなあ、なんて、一瞬そんなマイナスな思いがよぎりました。
要約筆記者は「どう要約するか」と常に考えいます。
概念の再構築ですな、それを考えている時間の分、遅いのかな~
それは言い訳
これはホントの話ですが、要約せず、聞こえたまま打つ方が速いときもあります。
生字幕でも、さすがに全部入力はされていませんが、要約も、見ている限りではほとんどしていなかったような。
キーボードについて
出場者は、ほぼ全員、マイキーボード持参。唯一のメンズは、3万以上の高価なキーボード持参。キーボードでは一番高いものらしいです。すでに5つめとか。
私は、ああいうステノキャプショナー(字幕入力者)は、ステノワードという特殊なキーボードを使用しているとばかり思っていたんですが、普通の、パソコンの配列のようなキーボードで入力している人がほとんどでした。
5チーム出場でしたが、1チームは「どうやって入力するの?」というキーボードというかマシン持参のチームもいました。
裁判所の速記用ということで漢字変換ができないそうです。
1チーム2人体制ですが、ここのチームは上記のマシンで入力して、もう一人が漢字の修正・確定をしていました。
全員、聞くことに集中するため、ヘッドフォンしているのですが、その会場で入力のタッチ音がパチパチと鳴り響いていました。
これわんも、以前、ノートパソコンにマイキーボードをつけて入力していたときがあります。
普段はデスクトップを使っているので、外付けキーボードの方が自分の手に合ってなじむものが多いんです。
でも、あるとき講師に「パチパチとうるさい」と注意されてから、ノートパソコンのキーボードで入力するようにしました。
要約筆記の現場ではヘッドフォンできませんから(当たり前だ!)、あまり音をたてない配慮が必要です。
単語登録
速く入力するために、単語登録は欠かせません。それは要約筆記者も字幕入力者も同じこと。
でも、その単語登録の方法も工夫がありました。
例えば、私たちは「要約筆記」を「よひ」や「よや」と登録しています。まー、普通ですよね。
この字幕入力者の方たちは、キーボードで入力しやすい場所にある「;」を多用していました。
たとえば、「◯◯;;」で「平成28年10月24日」とか。
私もアルファベットとか、ほかの言葉とかぶらないような言葉で単語登録は「いっぱい」しているんですよね。
でもね・・・何て単語登録したか忘れるんですよ。
悲しいなあ
トシのせいにはしたくないけどね。
優勝したキメテに納得
このコンテストは、1から3までお題があるのですが、3つめのお題は「お笑いの生字幕をつける」でした。
お笑い・・・難しいですよね。これわんは一番苦手です。
審査員に聴覚障害者が2人いたのですが、審査の決め手は「擬音語」を文字にしたことです。
擬音語とは雷が遠くから近づいてくるときの「ゴロゴロ」とか、ドアが閉まるときの「バタン」とかですが、お笑いの中での擬音語を文字化していたチームは1つだけでした。
「雰囲気」「空気感」まで伝わる情報だったという聴覚障害者の審査員の言葉、とっても勉強になりました。
字幕入力者だけではなく、情報保障者も、この擬音語、擬態語などは音声として認識しないため、文字にしないことがほとんどですよね。
「空気感」を伝えること意識して情報保障しようと思いました。