連係入力のあれこれ―練習方法や利点など

2021年の初っぱなの投稿は「要約筆記」関連です。

年末の大掃除をしていたら、2年前の秋に購入した連係入力の教材が出てきました。

どや

何もしていないのがバレバレ

要約筆記者の連係入力講習を1人で学習できるうよう教材にしたものです。

実際に横浜で2日間にわたり開催された勉強会を自学用に再編し販売されたものを勇んで購入したのですが、見ただけで後回しにしていました。

ぺこりぺこり

栗田さん、ごめんなさい

それが暮れの大掃除で見つかったため、慌てて見直しています。

買ったはいいけど、何もしなければ意味ありませんからね。

そこで、最近派遣でよく新人さんに聞かれる「連係入力の上達方法」について、私なりの考えをお伝えしようと思います。

全要研のカリキュラムなぜ1人入力?

このブログで要約筆記についてのことは「経験者向け」に書いているのですが初心者または分からない方に少し説明します。

現行カリキュラムの2人入力について
要約筆記は数年前まで各地方自治体任意のボランティアでしたが、統一試験制度の採り入れがなされ、それ以降は資格取得を目指す84時間以上のカリキュラムになりました。それまでパソコンコースは連係入力がメインだったのですが、資格試験のため1人入力が基本になりました。テキストでは連係入力は数ページしか触れていないし、養成講座ではせいぜい2時間程度しか教えることができません。でも、実際の現場では、連係入力が多いと思います。

今、要約筆記者の養成講座は84時間以上で、福祉制度から要約筆記の基礎、接遇など、学ぶことは多岐にわたります。

パソコンコースが1人入力が基本になったのは、「二人入力」「連係入力」を資格試験に導入するには難しいからだと想像します。

「連係」を「客観的に判定」するのは非常に難しいです。

判定ではっきりするのは「文字数」の違いですが、そんなことを基準にされたらたまったものではありません。

結局、速く打てる人が有利となるし、いっぱい打てばOKとなれば要約することから乖離してしまいます。

その点、1人入力だったらその人の「要約力」だけが問われて基準が明確になるんですよね。

まとめ

情報量が多ければいいわけじゃなし

しかし資格制度と現場ではかなり違いがあります。

私の活動している地域も、養成講座では1人入力が基本ですが、その後、サークルに入ってから連係入力を徐々に教えるようにしています。

新人さんは、当然、習ったことと違うので最初すごく戸惑います。

わん3

聞いてない

私が知っている自治体(県内と、他県の一部)では連係入力がメインですが、私が知らない地域で1人入力で交代しているところもあるでしょう。

でも、おそらく昔から活動しているエリアでは圧倒的に連係入力の方に軍配が上がるのではないかと思います。

それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

連係入力のいいところ

連係入力のメリットは断然、多くの情報が入れられることです。

文字数は1人入力の倍のまではいきませんが、そこそこの連係でも1.5倍くらいにはなるし、うまく連係できると疲労度が格段に違います。

要約の力がある2人が組めば、そこに読みやすさも加わります。

私は疲れてくると「聞こえたまま入力」してしまうという悪い癖が出てしまうので、ほんと、パートナーには申し訳ないなと思っていますが。

多くの情報が入れられるということは、利用者にとってもメリットです。

「私には連係入力はハードルが高くて」と遠慮している人は、今年、ぜひチャレンジしてみてください。

連係入力の悪いところ

連係入力のデメリットは、2人の息が合わず、メタメタな文章になってしまうことです。

2人で同じ言葉をダブって入力したり、意味の通らない文章になるなど、慣れるまでは大変です。

つまり、パートナーとの「連携」が連係入力のキモになります。

現場で何度か組んでいるとか、すでに阿吽の呼吸のパートナーであればいいのですが、ずっと1人入力だった方とか、まだ新人の域から出ない人が突然、現場で連係入力をやろうとしても難しいでしょう。

ベテラン同士でも、2時間、3時間の派遣になると、後半疲れが出てガタガタになることもあります。

新人さんでも、入力にそこそこ自信があり、モニター部もきっちり見られる人なら大丈夫です。

モニター部までチェックできないと、相手がどこまで入力しているか分かりませんから。

慣れていても、助詞の使い方や、つなぎ方を間違うと、ちゃんとした日本語になっていないこともしょっちゅうです。

連係入力の練習方法

1人入力も連係入力も練習あるのみです。

遠回りのようでも、地道に練習するのが一番の近道かなと、最近は感じています。

この年末年始にこの連係入力パートナーで連係入力の達人になろうと狙っていたのですが、「いつかやろう」なんて思っていてはできませんね。

さとす

反省ですな・・・

実際に私の入っているサークルも勉強会や派遣直前にメンバーで集まるなど工夫をしています。

本番に近い話を練習しても実際には全然違うことを話したりなんてことも多々ありますしね。ホント、難しいです。

だから、派遣や勉強会はどんどん出て、研鑽するしか道はないんですよね。

最近は、リモートでも練習できるようになったので各自の都合を聞いたり場所をかりる面倒がありません。

ただし、リモートはリモートでしかありません。

新しい生活様式を見据えて、リモートでの情報保障も開始しています。

全要研からもZOOMで要約筆記のマニュアルが出ました。

リモート一辺倒になるような世の中ですが、私は元の生活には戻らないにしても今までのような情報保障とリモートでの要約筆記との併用でしばらくは進むと感じています。

情報保障者が顔を合わせないと意思疎通とれないことが多くてとても不便です。

誤字の注意などはできないし。顔を合わせてちょっとしたことを聞きたいことってありますよね。

だから、リモートは「集まれないときの選択の1つ」ぐらいに考えていた方がいいでしょう。

私の連係入力のための学習法を紹介します。

過去やっていたものも含めて3つ、あります。

  1. 俳句のテレビ番組を見る。
  2. 新しい語句、造語、分からない言葉はすべてメモる。
  3. 朝日新聞の「天声人語」を写す。

現在も続けているのは1と2です。

俳句は助詞の使い方ひとつで意味が全然違うものになるというところがすごく勉強になります。

「プレバト」でもいいし、日曜朝のNHKの俳句の番組でも何でもいいので、見ることをオススメします。

分からない単語は、言うまでもありませんね。

私も若い人たちが使う言葉が分からない世代になりました。知らない言葉は入力できません。

だから、少しでも語彙力を広めておきたいものです。

天声人語の書き写しは今、新聞をとっていないためできませんが、表現方法や語彙力の広がりという点において価値があると思います。

1日の天声人語の書き写しは15分くらいかかります。

やったからすぐに目に見える成果もないので地道な作業になります。

今思うと、あれが生きていたんだな、と思うことがかなりあります。

イマイチだったのは、本などの文章を要約して見返すこと。

要約の勉強のためと思って始めたものの、後から見返すことに意味がないことが分かり、やめました。

要約筆記は聞こえたものを取捨選択して要約するので、テレビやラジオで練習するといいかもしれないですね。