私はパソコン要約筆記者の試験に去年合格しました。
試験合格までの勉強法
要約筆記とは聴覚障害者に対する情報保障で「手書き」と「パソコン」の2つの手段があるんだ
2018年度の試験は2019年2月17日に実施されました。
直近3年の合格率は、手書きが20%台、パソコンが30%台です。
手書き | パソコン | |
---|---|---|
2017年度 | 21% | 37% |
2016年度 | 27% | 32% |
必ずしも高い合格率ではないので心配でしょうが、あともう少しですから最後まで諦めず頑張りましょう。
そこで、昨年、私のやった勉強法をご紹介します。
実技は、講座での学習だったり、すでに現場に出ている人は経験値がものを言います。
講座修了後、すぐに受検という方は、ユーチューブなど10分程度の音声を入力してみてください。
当然ですが、聴いたことない音声を使うのがポイント。
入力後に、再度聞いて、意味が伝わるか、大事なところが抜けていないかチェックします。
私は、現場に出る数日前に、ラジオ深夜便の音声で指ならしをします。
あと、実技はどうしてもアガッてしまうので、試験当日は「試験官の言うことを良く聞く」ことが肝心。落ち着いて、ゆっくり、焦らないことがポイントです。
筆記試験ですが、私は徹底的に過去問をやりました。
↑ は、要約筆記者認定協会のサイトです。
過去問が掲載されているので、ダウンロードしてやってみましょう!
全国統一要約筆記者認定試験過去問題集が全国要約筆記問題研究会から発売されています。
忙しい方は、過去問などの冊子を持ち歩き、隙間時間に問題を解くなど学習するのもいいでしょう。
私は2016年から2014年の3年分の過去問を2回、解いてみました。
2回やったのは、1回だとしっかり覚えられないと思ったから。
案の定、最初は分からなかったことも2回目にはスッと入りました。
そのときに、気をつけることは、最初の1回目は分からなくて当たり前という気持ちで気楽に取り組んでください。
私も筆記は受講してから時間がたっていたせいか、すべてといっていいほど頭から抜け落ちていました。
あまり早くから勉強して、忘れてしまう恐れがあったので、本格的に勉強に取り組んだのは1月になってからです。
1月に過去3年分の過去問をサラッと一度やって、分からないところはテキストを見直していました。
2月になってから過去問2回目に取り組んだのですが、すでに気持ちに余裕がなくなってきたせいもあり、テキストの見直しまではできませんでした。
失敗談と成功談
私の友人の失敗談です。ちなみに私はパソコンですが、友人は手書きです。
友人は、早く学習した方が有利だと考えて、とにかくテキストの1ページから読破したそうです。
確かに、テキストさえしっかり覚えていれば、80%は解けるはず。
でも、出題傾向とか1年でだいぶ違うところもあるので、やはり過去問でしっかり覚えるのが得策だし、時間も有効利用できます。
専業主婦の方もいるし、もちろん、お仕事をしながらの方も。
要約筆記活動をしているのは、女性の方が多いと思いますが、夜、家事がすべて終わってからやろう、なんて思っていませんか?
一日の終わりって意外と疲れているもの。読み流し程度ならできますが、しっかりと記憶にとどめるためには、昼間に1時間でもいいから時間をつくってください。
資格を取得してよかったこと
当県難聴協会の会報誌に合格者の個人名が載るんですよね。その是非は別として、それを見た方から「おめでとう」と言っていただき、素直にうれしかったですね。
あと、現場での気構えが変わりました。責任感というか、有資格者なんだから、ちゃんとしなきゃいけない、という意識が芽生えたというか。
正直言うと、実技はそこそこ点数がよかったわりに、筆記試験は合格ラインギリギリだったんです。
でも、合格点に達していれば合格は合格。
1点足りなくても不合格です。
耳の構造はあまり勉強しなかったから、とか、言いっこなし。
運の善し悪しを嘆くよりも、1問でも多く問題を解くことが合格の秘訣です。
障害の種類によって差別が始まっている
社会保障費は手厚くなっているところと、どんどん減らされているところと大きく二分されています。
自治体によっては予算が足りないところも多いようです。
福祉で優先されるのはまず命なので、要約筆記も「ちょっとガマンしてもらえば」と思われているのか、だんだん脇によけられている気がします。
だからといって、要約筆記がなくなったら聴覚障害の方や高齢の耳の不自由な皆さんはどうなるでしょうか。
感謝される、人の役に立つこと
要約筆記をした後は、利用者さんに本当に感謝されます。
社会の役に立つ、やりがいのある活動です。
それと、要約筆記者の人数はかなり限られています。
やっていることは、かなり専門的な高度なことです。行政の報酬規程があるので、大都市以外は、ボランティア報酬が実態に合わない印象もあります。
だけど、ちゃんとしたカリキュラムで習得し、このスキルを自分のものにすれば一生のものになりますよ。
要約筆記者を習得しようと思う人が少ない上に資格取得者はさらに少ないので代わりがいないんです。
先日、私は市議さんの前で情報保障する機会があり、終了後に「初めて見たけど、すごく分かりやすくて、もっと普及すればいいと思った」という感想をいただきました。
それには要約筆記者の養成が不可欠なのです。
要約筆記を必要とする人が、当たり前に情報保障がつけられる社会が実現するよう願っています。